デルの考える働き⽅改⾰をもっと詳しく知るには。

日経BP社の許可により、2017年7月5日~ 2017年8月1日掲載 の 日経ビジネスオンライン Special を再構成したものです

経営者・管理者都合の「働き方改革」が不機嫌な従業員を増やす理由とは?

「モバイルPCを支給して終わり」は働き方改革ではない

デル株式会社 執行役員 クライアント製品本部長 クライアント・ソリューションズ統括本部 田中 源太郎氏

全従業員に画一的にノートPCを配布する。あるいはバックオフィスと開発部門にはデスクトップ PCを、営業部門にはモバイルPCをといった形で、部門ごとや業務カットで1人1台支給する。こうした画一的なデバイス選定は、逆に現場の生産性を奪いかねない。

「まだまだ日本では、“ノートPCを支給すれば、それで終わり”といった管理者側のマインドが感じられます」とデルで執行役員を務める田中 源太郎氏は指摘する。

「本来、働き方を改革するのであれば、働き方に合わせたデバイスを選ぶ必要があります。例えば内勤型のワーカーであっても、デスクから動かない人もいれば、会議や打ち合わせなどでデスクにほとんどいない人もいます。同じ内勤だからといって両者に同じデバイスを支給しても、生産性は上がりません」(田中氏)

同社のフィールドマーケティングマネージャーを務める飯塚 祐一氏も、デバイスのトレンドとしてはノートPCの需要は確かに増えているが、生産性を考えた際に「デスクトップの需要はある一定数は必ず残る」という。

デル株式会社 クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティングマネージャー 飯塚 祐一氏

「日本も含めて先進国でのデスクトップ需要は40%を切ることはありません。今後もこの水準で推移していくはずです。デスクで固定的に作業する人は、巨大なExcelシートで作業したり、複数のアプリケーションを立ち上げます。こうした人々に15インチノートを支給して生産性が上がるでしょうか。モビリティが高い方が仕事がしやすいという面はありますが、働き方のニーズは個々に違っているもの、そこに画一的なノートPC導入という施策は逆に生産性を落としてしまいます」(飯塚氏)

社内には、モビリティを必要とする人がいる一方で、大画面のディスプレイで作業をした方が効率的な従業員もいる。モバイルワーカーと一口にいっても、必要とするデバイスのスペックやサイズなどもまちまちだろう。生産性向上を真剣に考えるのであれば、より個別のワークスタイルを把握し、適材適所のデバイス提供が必須なのである。

ワークスタイルを見極める7つのメソッド

とはいえ、従業員の適材適所をどのように見極めたらよいのだろうか。そこで参考にしたいのが、デルが提唱する「7つのメソッド」だ。これは、デルが自社の実例とエンドユーザーへの調査を基に、業務や部署でのカテゴライズではなく、あくまでも「働き方」で従業員像を分析したもの。

図 デルが導き出した「7つの働き方のタイプ」 デルが導き出した
「7つの働き方のタイプ」
あらゆる国・地域・業種において、働き方の目的・ニーズは基本5分類に集約できる。「特定用途型」をブレイクダウンした「クリエイティブ型」「エンジニア型」「現場作業型」を合わせ7つのメソッドとなる

具体的な分類は、自分のデスクで50%以上を過ごす「デスク型」、社内にはいるが会議室などデスク以外の場所で50%以上を過ごす「社内移動型」。さらに「外勤型」「在宅型」そして、テクノロジーを特殊用途で使う「特定用途型」の5分類が基本形となる。「特定用途型」はさらに特化したマシンスペックを掘り下げ、DTPソフトなどのアプリケーションを使う「クリエイティブ型」、CADなどを使用する「エンジニア型」、堅牢性の高いデバイスが求められる「現場作業型」と細分化している()。

外勤型と内勤型でワークスタイルが分かれるのは容易に想像できるが、「社内ワーカーでも働き方は分かれる」という分析は興味深い。もちろんデルの従業員も例外なく7つのメソッドに分類されるが、顧客とのメール対応をするメンバーはデスク型、それを束ねるリーダーや管理層になってくるとミーティングが増えるため社内移動型になるという。それぞれデバイスはコンパクトなデスクトップPC第 7 世代インテル® Core i5-7500T プロセッサー搭載「New OptiPlex 7050 Micro」と14インチサイズのノートPC第 7 世代インテル® Core i5-7500T プロセッサー搭載「New Latitude 7480」が推奨されている。

デル株式会社 クライアント・ソリューションズ統括本部 フィールドマーケティングマネージャー 本谷 和美氏

「外勤型」になってくると、当然ながらモビリティが重要視され、12.3インチサイズのタブレットとノートの2 in 1モデル第 7 世代インテル Core i5-7200Uプロセッサー搭載「New Latitude 5285 2-in-1」が推奨される。ただ、これも「2 in 1モデルが必要かどうかはワークスタイルに合わせてニーズは変わってきます」と同社のフィールドマーケティングマネージャー本谷 和美氏は指摘する。

「実際に当社でも2 in 1モデルを支給して、外れない方がいいと言われたことがあります。確かに、販売店などの現場でお客様と立ち話的に商談をする営業スタッフはタブレットにできる2 in 1を使いやすいと評価しています。しかし、同じ営業職でも例えば客先でミーティングが主体となる人にとっては、単にお客様と画面を共有できればよいので画面をリングノートのように回転させるコンバーチブルタイプの方が使い勝手がよい。働き方に合わせて細かく適切なデバイスを見ていく必要があります」(本谷氏)

デル株式会社 クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品マーケティング本部 フィールドマーケティングマネージャー 花木 郁氏

「在宅型」であれば、12インチサイズのノートPCにモニター付属が推奨されている。どうしてわざわざPCモニターの付属を提案しているのか。「調査時にわかったのですが、せっかく在宅の制度が整っていてもモニターが自宅にはなく、パフォーマンスを考慮して自費購入するという意見も少なくないのです」と同社のフィールドマーケティングマネージャー 花木 郁氏は説明する。

実は、従業員からはPC本体以外のモニターや周辺機器に関する不満は大きく、生産性にも多大な影響を与えているという。よく聞かれるのは、ACアダプタが持ち歩くには重く、新たに自費購入して自宅用においているというケース。一つひとつは小さなことのように思えるが、この使い勝手の良し悪しは生産性に大きくにつながる。実際、IDCの調査では、「従業員にセカンドモニターを支給することで、生産性が18%向上し、2カ月未満で投資コストを回収できる」という結果もある。

「最近は、より生産性を向上させるための様々な周辺機器が登場しています。働き方を考えるなら、働き方にあった周辺機器までセットで考えることが自然です。コストとパフォーマンスのバランスを考えた場合、企業側にデメリットはないでしょう」(花木氏)

デバイスは人材戦略でも鍵を握る

このほか、「クリエイティブ型」では、PremierColor 4K InfinityEdgeディスプレイを搭載したモバイルワークステーション「New Precision 15 5000 シリーズ」が推奨されている。これは、世界トップクラスの薄型軽量、小型サイズを実現するモデル。性能だけでなく「MacBook Pro」などに親しんだユーザーにも受け入れてもらえるようデザイン性も洗練させたモデルだ。

また、CADなどを使用する「エンジニア型」には、最新のデュアルインテル® Xeon®プロセッサーを搭載しパワフルで拡張性の高いワークステーション「Precisionタワー7000シリーズ」を推奨。「現場作業型」には、過酷な現場環境でも対応できる堅牢性の高い「Latitude 12 Rugged Extreme」をメソッドの推奨機種として提示している。

ここまで、最新スペック・最新テクノロジーが必要なのかといった疑問の声もあるかもしれないが、世界市場を分析するデルでは、「今後、デバイスが人材戦略の重要な要件となる」と断言する。

「例えばインドなどの新興国では、“新しいデバイスを使えないなら転職を考える”というほど、デバイスに対する意識が高い。海外では既にエンドユーザーが使いたがるデバイスを提供しないと優秀な人材を会社に引き留められないと認識されています」(田中氏)

続けて飯塚氏も「日本でも、デジタルネイティブの世代がどんどん社会に出てきます。そもそもパソコンを使わずにスマートフォンですべてを済ませ、LINEなどの最新のアプリケーションに常に触れている世代です。彼らにWindows 7を渡しても、なぜこんなに処理が遅くて使いにくいものを使うのかというフラストレーションから出発する。今後、人材戦略を考える際には、デバイスの持つインパクトをIT管理者も経営者も意識すべきではないでしょうか」と指摘する。

働き方改革に向けた生産性の向上、優秀な人材確保といった側面からみても、今後さらにユーザー一人ひとりに適したデバイスの選定が必要になってくるのは明らかだろう。

「同じデバイスだから管理しやすい」のウソ

適材適所のデバイス配布の実現に向け、懸念を持つ担当者も少なくない。特に企業が二の足を踏む要因となるのが「管理性」の問題だ。セキュリティへの対応やバックアップ、管理面での煩雑さを考えたときに、どうしても不安が残るからだ。以前のPCやタブレット導入の時の苦い“失敗体験”が一律配布に向かわせてしまうのだろう。

しかし「同じデバイスだから管理しやすい」というのは、もう古い考えとなりつつある。「同じデバイスだと管理しやすいと言われてきましたが、デバイスの管理性も進化をしています。7つに分けたから手間が増えるというのではなく、7つに分けてユーザーエクスペリエンスを向上させた上で、管理性も損なわずコストを下げることも可能になっています」(田中氏)。

例えば、インテル® vProテクノロジーの機能を独自に拡張している点もその1つだ。セキュリティ上重要なBIOSの設定変更は、通常のインテル® vProテクノロジーではPCの電源がオンの状態でしか行えない。デルではこれを独自拡張することで、オフ状態から作業を可能にした。つまり、従業員が帰社後に、PCの電源をリモートでオンにして一斉にBIOSの設定変更することが可能になる。これならば、PCの導入時期を気にしながら、BIOS変更をIT部門の担当者がいちいち行う必要もない。

また、他社メーカーのPCでは同シリーズでも機種ごとにドライバーファイルが分かれているため、個別インストールが必要になる。それに対しデルの「Latitude」シリーズであれば、全機種をカバーするドライバーのキャビネットファイルを準備。個別ダウンロードも個別イメージファイル作成も必要なく展開ができるという。

このように、エンドユーザーのタイプ別にデバイスを選定したとしても管理を複雑にしない工夫が取り込まれているわけだ。

売上と関係する従業員エクスペリエンス

米国の調査・コンサルティング会社フォレスター・コンサルティングが、デルと行った調査報告で、日本の企業にとっては見過ごすことのできないコメントがある。「日本のビジネスリーダーは、まだ従業員のエクスペリエンスとカスタマーエクスペリエンスの間に関連性があることを理解していない」というものだ。この調査報告書では、「カスタマーエクスペリエンス、従業員のエクスペリエンス、そして売上の拡大には関連がある」こと。そして「先進企業は、優れたカスタマー エクスペリエンスを提供するために従業員が使うテクノロジーに投資をしている」ことを最終的に示唆している。

つまり、従業員が使うテクノロジーにより、従業員のエクスペリエンスを高めることは、売上の向上などにも関連性が見られるのだ。そこに日本のIT部門やリーダー層は気が付くべきと警鐘を鳴らしている。実際に「まだまだ日本では、ノートPCであろうとも持ち出しを禁止している企業が多い」と田中氏は訴える。

持ち出しを認めていても、USBメモリーでのデータのやり取りを禁止したり、USBポート自体をふさいでしまうケースも多い。確かにセキュリティ対策は重要だが、これでは従業員の生産性は低下し、時間外労働や隠れ残業の温床となる。

セキュリティリスクを恐れるあまり、企業成長に直結する従業員の生産性低下といったリスクを見過ごしていないだろうか。管理やセキュリティリスク、あるいはコストという名のもとに現場の従業員を不機嫌にしないだろうか。ハッピーワーカーを増やし、企業が成長していくための働き方改革の実現に向け、まずは、現場の把握から始めてみてはいかがだろうか。

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